データベースとフェイルファスト(failfast)

データベースの権威として知られる Jim Gray の名前が、日本語の記事に現れたのを初めて見かけた。
http://blog.japan.cnet.com/umeda/archives/000692.html

Jim Grayの名前は、業界外でさして知られているとも思えないが、データベース業界では、第一線の研究者にして、トランザクション処理に関する分厚い本(1070ページ!)を共著したことで知られている。これは日本語にはならないだろうな、とタカをくくっていたら、上下二分冊で日経BP社から翻訳が出版されて驚いた(ISBN:4822281027)。

DBMSを実現する上で、非常に基本的なことから懇切丁寧に説明してくれる本だが、なにしろ分量があるだけに、まだ半分の500ページしか読み終えていない。それでも、この本から受け取った恩恵はとても大きい。たとえばfailfastという利用可能性に関する概念をこの本で学んだことは、エンジニアとしての実務に非常に役立っている。fail-proofはともかく、failfast/failstopについて日本語できちんと説明した本を見たことがない(そのくせ、Sun MicroSystemsが出しているJDKAPIリファレンスには、フェイルファストという単語が説明抜きで出てくるのである)。

DBMSトランザクション・マネージャを一から作成するような仕事には、この先も就くことはないだろう。それでも、いつか時間を見つけて、大著"Transaction Processing: concepts and techniques"の残り後半も読み通そうと思っている(とはいえ、翻訳書に頼ってしまう可能性は大きいな...)