天皇でてこい! LA Times の慰安婦記事(翻訳)

昨日につづいて、池田信夫ブログねた。

LA Times の慰安婦記事も訳してみた。この問題について謝罪すべきなのは、天皇なんじゃないの? 彼があやまれば八方がまるく収まり、どこからも文句が出ないだろう、というのは、外人とは思えない立派なスジ論ですな。こういう観点はしるかぎり、他のメディアにはなかったような気が。

(元リンク)
http://www.latimes.com/news/opinion/la-ed-japan07mar07,0,616262.story?coll=la-opinion-leftrail

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社説

天皇でてこい!
(Paging the emperor)

日本が戦時中の残虐行為に向き合おうとするなか、君主にできることがあるはずだ。
2007年3月7日

第二次世界大戦中に日本政府が関与して、20万人ものアジア系女性を性奴隷してはたらかせたことを隠し通そうとする安倍普三首相のたくらみは、痛ましいというほかない。それはまったく非建設的だ。汚名を雪ぎたければ、天皇明仁以外に適任者はいない。

安部が政権の座についたとき、中国と韓国との関係を改善しようとしていたはずだが、しかし今はむしろ、日本の右翼によるもっとも忌むべき歴史修正主義にこびることで関係を破壊している。アジア諸国が怒りの声をあげるなか、おわびの表明を撤回するつもりではない、と安部は強調したが、だれも納得はしないだろう。この一件は、地域の和平と安全はおろか、米国の国益をも脅かすものだ。アメリカはいま、北朝鮮核武装問題といった課題に取り組むために、アジア諸国のより緊密な協力が必要としているからだ。

政治家とエセ歴史家がなんども歴史的事実を否定したり捏造したりしているとなりで、日本の極端なナショナリストが、戦時中の残虐行為について「十分に謝罪したはずだ」と繰り返すのは、自滅的というほかない。しかもそのことが、中国・韓国の一部の指導者が戦時中の苦難を自分の政治的目的のために利用するという飽くなき傾向を利することにもなる。事態をさらに悪くしているのは、日本国内で、靖国神社への公式参拝にあえて異をとなえた政治家に対して脅迫がおこなわれていることだ。靖国は、日本の戦死者をとむらう記念館であり、そのなかには戦争犯罪人も含まれている。

日本は、平和を愛する民主制だ。この国が、世界の舞台で確固たる自信を得ることは悪いことではない。すくなくとも、歴史問題における強情さが顔を出さない限り、だが。終戦から62年たったいまでも、中国と韓国との関係で、本当の修繕がなされていない、というのは恐ろしいことだが真実だ。与党自民党が、第二次世界大戦中の残虐行為を過小評価しようとするものを厳しく罰することがなかったため、1995年の(社会党)村山富一首相による謝罪は軽視され、国際的な評判を落とすことになっている。日本が戦時中の行為をきちんと認めようとしないことで、東京がアジアにおける実質的なパートナーとして機能することをさまたげ、ひいては日米同盟の将来に悪影響を及ぼす。

日本国民とその近隣の国民を、過去と和解させるためにもっとも適任なのは、戦時天皇裕仁の息子である明仁だ。政治的混乱からこの問題をすくいあげることができるのは彼だけだ。1992年に北京で彼は、汚れた過去について、はっきりと述べている。「中国の人々に、わが国が耐え難い苦痛を与えた不幸な時期がありました」と彼は述べた。「これは私にとって深い悲しみであります。戦争が終わったときに、わが国民は、このような戦争を二度と繰り返すまいという反省とともに、平和への道を歩むことを決意しました。」

天皇はもう一歩ふみこんで、天皇の御名のもとで行われたすべての犯罪に対する、より強い形での謝罪をすることができるはずだ。このような身振りは、日本の政治家によるいかなる声明よりも、信頼され、深い意味をもつことになるだろう。日本もその隣人も、前に向かってふみだすべきときにきている。

(了)